real face
「プレゼントですか?今日お渡しでしょうか?」

「いいえ、明日渡そうと思ってます」

「でしたら、焼き菓子も人気ですよ。パウンドケーキやマドレーヌなんかいかがですか?味も種類も豊富ですし、個包装になってますので詰め合わせできますよ!」

よく分からないから任せよう。

「じゃ、詰め合わせで。いろんな種類を10個くらい入れて下さい」

「はい。少々お待ち下さい」

よし、今日の目的は果たしたな。
これを明日、父さんに渡してもらえばいい。

さて、念のために見に行ってみるか?
たまたま近くまで来たんだし、そう、たまたまな。

イベント会場って何処にあるんだ?
確か屋根付きで開放感のある広場みたいなところだったような。
とにかく歩きながら探してみるか。

「お母さん、ここをまっすぐ行ったところだよきっと。あかりちゃんいるかな!早く行こうよ~!!」

小学3、4年生くらいの女の子がお母さんを引っ張って走っていく。
その方向の先に広場があるようだな。

あんまり近付くと気付かれてしまうから、適当な場所はないかと辺りを見渡す。
ちょうどいい感じのカフェが近くにあった。
観察するには打ってつけなそのカフェに入り、会場を眺める。

なかなかの盛況ぶりで、小学生や中学生が親を伴って集まっているようだ。
迫田も忙しそうに動き回っている。
アイツは……何処だ?

会場の中でも一際目立っている人だかりの中心で、子供たちに混じって笑顔を振り撒いている女性が1人見える。
多分小学生の集団の注目を集め、大きめのディスプレイを指差しながら説明している。
楽しそうな雰囲気が離れているここまで伝わってくるようだ。

今度は自分でデモンストレーションプレイするのか。
真剣な表情だが、直ぐに失敗したらしく子供たちに笑われている。

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