real face
「修のヤツが蘭さんにご執心ってのはよくわかりました。だけど、ご両親やイチにぃは好ましく思っていない、と」

「まぁ、そういう事だな」

「肝心の蘭さんはどうなんだ」

え、私?

「家族の反対とか、世間体とか、そういうのって結局は二の次では?本人同士の気持ちが一番大事なんじゃないですか。蘭さんは本当のところ修のことをどう思っているんだ」

「私の気持ちですか。シュウにぃのことは大事な"従兄"としか思っていません。昔からそうだったし、今もまったく変わってないです。恋愛感情を持ったことは一度もありません……」

「じゃあやっぱり、修がひとりで突っ走っているってわけだ。アイツは思い込みが激しいところがあるからな」

「そうなんだ。俺も修一に何度もまひろのことは諦めろって言ってるんだけど。公認会計士の資格を取って、自分に自信を持ってるんだろうな。まひろのことを守ってやれるのは自分しかいないって」



「そこでだ。前置きが長くなってしまったが、今日はこの作戦を発表するために緊急ミーティングに踏み切ったと言っても過言では無い」

イチにぃが物々しく言い放った。
作戦……?
思わず佐伯主任の方を見ると、主任もこっちを見ていたらしく目が合った。
2人で首を傾げて、同時にイチにぃを見る。

「翔、まひろ……。お前ら、付き合ったらどうだ?」

…………はい?

「返事は『ハイ』か『YES』かどっちかで!5秒以内に!!」

「了解」

……え、主任!?

「即答だな、翔。じゃ、まひろもOKってことで」

「え、あの、ちょっと待って」

どうして、そんなことに?
私と佐伯主任が付き合うなんて……。
しかも、主任が『了解』なんて簡単に言うなんて!

「翔、解ってると思うけど。修一が帰って来たら必ずまひろに接触してくるぞ。しっかり守ってやってくれよ?」

「ああ、任せてくれよ」

え?これってもしかして、決定事項なの?

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