【B】箱庭の金糸雀 ~拗らせ御曹司の甘いぬくもり~

15.欲しいものとガラクタ - 如月 -



目が覚めた時、アタシは真っ暗な空間に居た。
まだカーテンの開いていない薄暗い部屋。

視線を動かして、
この場所が何処かの病室らしいことを自覚した。


そして次に視線を今アタシ自身が眠っているベッドへと向ける。
アタシが眠るベッドサイド、うつぶせに眠るアイツの姿を見つけた。



……バカ……。
こんなところで寝なくても、アタシは何処にもいかないって。



思わず小さく呟いて、
そっとアイツの茶色の髪に手を伸ばす。

指先に触れるアイツの柔らかな髪。


ベッドの中、もぞもぞと動いて少しでも近くでアイツを見たくて体を動かす。


そんなアタシの動きに気が付いたのか、
うつ伏せになっていた体が急に持ちあがって、
「如月」っと、アタシに布団越しに抱き着くアイツ。




何してんの?
アタシは大丈夫だよ




不安そうにアタシを抱きしめるアイツに向かって、
可愛げのない言葉をいつものように吐き出したつもりなのに、
アタシの声は響かない。


アイツは今もアタシを抱きしめたまま離れようとしなくて、
最初は少し抵抗していたアタシも、
観念して暫く黙ったままアイツを見つめていた。



あれ?
だけど、どうして光輝がいるの?


確か……入籍したあの日、
光輝は仕事で日本を離れた。


その翌日に、ピアスを失くして、
アタシは真梛斗を求めて海に行って……。



えっ?

待って。


だれにも言わずに海に行って、
アタシは確かに入っていったはずなのに、
なんでアタシはここで助かってるの?



助かってるのは現実で、
今、目の前に光輝が居るのも現実。


海に居るはずのアタシが病院にいるってことは、
誰かがアタシの体を助けたってわけで……。


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