Sky （変更可能性アリ）

違和感

ふと目に止まった前方を歩く1人の人間。
ここからかなり距離があるからはっきりとは見えないけど…風でサラサラとなびく長い髪。
…女の子、らしい。

グッと目を細めれば狭い視界の中で1人の人間が左右に揺れながらゆっくりと動いているのがわかった。

…なにやってるんだろう？

暫く見ているとふらつくことなく、まっすぐに歩き始めた。


…気のせい、か？
暑さで俺の目はおかしくなったのか？目を擦ってもう一度凝らして彼女を見るとただまっすぐに歩いているだけだ。

…気のせいか。

そう思い、再び目的地に向かって足を進めて行く。

車や人の通りが激しい駅周辺に比べ、ここは車の通りが少なく人もほとんどいない。

今だって車はいないし、人は俺と前を歩く彼女くらいだ。

1本道をずらせば家がたくさん建ち並んでいて
車や人もここよりは居そうだけど、午後2時過ぎという1日で最も暑い時間帯に自発的に外出したがる人なんてほとんどいないだろう。



そんなことをより一層力を増した日差しに集中攻撃されながらぼんやりと考えていたら、俺がずっと目指していた目的地が見えてきた。

大きな建物だし人も中にはたくさんいるだろうから、室内は冷房がよく効いていることは間違いないだろう。
その根拠にちょうど室内から出てきた親子が、汗ひとつなく涼し気な表情で出てきているからだ。


まぁ何がともあれやっと着いた、と胸を撫で下ろし足を目的地に向けようとしたその時、ふと前方を歩いていた彼女の動きが普通でないことに気がついた。



なんだ…？

気のせいか、はじめに見た時よりもふらつきが増しているような…。

俺は残り数メートルで着く目的地に向けた足を戻す。

彼女のふらつきは収まる気配を見せず、だんだん道路の真ん中へと進んでいる…。

周りには誰もいない。

おせっかいかもしれないが、大事になる前に止めないと…。

謎の正義感が俺の胸を支配し、彼女を追おうとした。ーその時。
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