高校生マフィア

雪姫

「ただいまぁーっ」

爽樹が、びしょ濡れになって
頬と手首に大きな絆創膏(ばんそうこう)を付けてヘラッと帰ってきた
陸が顔色を変えて爽樹の手首を引いて自分に引き寄せた

「爽樹お前っ…」
「あーだいじょーぶだいじょーぶ!!ちょっと転んだだけだし?成功したし?バッチリだよ☆」
「だって…!」
「あーコレ?コレね。絆創膏大きいけど以外と大したこと無いんだよ」
「…そーか」

陸が、パッと手を離した

「…それで」

静まり返った部屋の中で、私が口を開いた

「次は?」

慧に視線を向けると、ゆっくりと椅子から立ち上がった

「高城のおかげで、奴等の動きは大方(おおかた)分かった…盗聴器やカメラは何個か壊されたがな」
「………」

盗聴器を見つけられたか…
爽樹の侵入が敵にバレたか…

「ごめん…」

爽樹が気まずそうに謝った

「まぁ、大元のコンピュータがハッキングできただけでもかなりの収穫があったから高城は気にすんな」
「うん…」
「とりあえず、爽樹はシャワー浴びなよ」

タオルを手渡しながら、爽樹をドアの外に向かわせた

「ありがと…っくしゅ…」
「風邪かー??」

春樹が背もたれからのけぞって爽樹に言った

「いやー…雨降っててさー。あ、それより次は?何すんの??…っくしゅん!!」
「ホラぁ!!とりあえず風呂ー!!」

卓真が呆れて叫んだ

「ぁーうん。それより何かミルクティー飲みたい…」
「出てきたら淹れるから、早く」
「マジで?天使ー♪」

鼻声で笑いながら、廊下をパタパタ走っていった
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