一生一緒


「……美幸」






静かな、それでいて深く響く声で呼ばれた。





途端に騒がしかった1階が静かになる。





彼らの慕う総長 が階段上に立っていた。






「?何?」




そんな総長に素っ気なく応じれる彼女をメンバー達が尊敬していると言うことに気付かないのは彼女だけ。





「戻ってこい」





「嫌」





「……戻れ」





「だから嫌」





すると徐々に棗の恐ろしいくらいに整った無表情な顔が盤若に変わる。





こんなにも彼の表情を変えることが出来るのも彼女だけ。





棗が無言で降りてくる。





私は直ぐにその意図を察して智也の背後に隠れる。




しかし総長に敵うはずもなく智也はあっさりと私を裏切りその体を退けた。





棗は私をさっと肩に担ぐ。





「やだ。まだ話する。」





じたばた暴れると……





「うるせー。」





その一言のみ帰ってきた。





「あぁー!!棗ー!!美幸ちゃんに何してんのー!?」





様子を見に来た環が叫ぶ。





「環、助けて」





私が言うと眉を吊り上げた環がトコトコと階段を降りてきた。





「もー!美幸ちゃんを降ろしてよー!」





「あぶねー。」





「こら、環。今そんなことをすれば美幸さんが危ないですよ」





今度は様子を見に来た無限が言う。





「あ、無限!」





私が棗に見せなかった笑顔を見せると微かに舌打ちが聞こえた。





「おい、む……」





ガタンっ!!







倉庫の入り口に何かがぶつかるような音がした。




一瞬で倉庫内の雰囲気が変わる。

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