一生一緒
アキラが帰ってきたときにはクッキーは全て食べられていた。




本気で残念がるアキラが可哀想で、しかし小麦粉は殆ど使ってしまいもう一度焼くことはできなかったから近いうちにまた作るよと約束する。





アキラは普通の女子なら倒れるんじゃないかと思うくらいとろけるような笑顔をした。




一息ついてソファーに座り無限によって強制的に宿題をすることになった敏次と必死で宿題を終わらせようとしている双子を眺めた。





改めてリビングを見るとやはりとても大きいし広い。





「……この家は棗の家のって言ってたけど家族とは来ないの？」





と聞くと何故か棗が私の頭を撫でた。





「もうそんな歳じゃねーよ。……ここは幾つか所有している別荘のうちの一つを俺が貰ったんだ。」





「……棗の家って…」





「すっっっっごいお金持ちだよー！」と斎





「こら、斎。集中しなさい」と無駄口を許さない無限





「無限とアキラも御曹司なんだよね～～！見えないけど～～」ケラケラと笑う環の目の前にどこから持ってきたのか分からない分厚い本を笑顔で置く無限。





「さぁ環。読書感想文の本です」





双子の悲鳴が聞こえた。





「…そうなの？」





と私が聞くとアキラが頷いた。





「そ。俺と棗と無限は自分達で言うのもなんだけど、会社の社長の息子で所謂御曹司なんだ。同い年で長男ってのもあってパーティーとかで顔を合わせるようになって仲良くなったんだ。」






「暴走族してても平気なの？」疑問をぶつけると




「20歳までは自由にさせてもらう約束なんですよ。みんな20歳になったら会社を継ぐ予定なんで」と無限





「……それでいいの？」





「俺たちは嫌なら嫌だと言う。しってるだろ？」




棗が説得力のある言い方をした。





その言葉を聞いてそれが出来なかった自分を思いだし無意識に表情が暗くなっていたようだ。





「美幸さん？」無限が心配したように私を見る。




「……大丈夫。」そう言って無理矢理表情を作った私はスッと立ち上がった。



無性に伯と昌廣さんに会いたくなってしまった。
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