アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
私はその”残業なし”の案件を、片っ端から印刷。

そして、それを職員の人の元へ持って行った。

開口一番言われた言葉は、私にとって衝撃的だった。

「この職種は、経験済みですか?」

「えっ!?」

私は、プリントアウトした求人票を、もう一度見直した。

どれも初めての職種だ。


「いいえ……」

「経験なしですね。」

職員の人は、冷静にメモをしていってる。

「あの……」

「何でしょう。」

メモに集中していて、こっちを見てもくれない職員の人に、質問するって、かなり勇気がいるけれど……

「経験があった方が、いいんですか?」

「そうですね。あった方が決まりやすいですけれど、まだ23歳ですからね。無くても面接はして貰えると思います。」

私は、息をゴクンと飲んだ。

経験?

そんなブラック企業の1年程の経験と、契約社員の半年程の経験で、経験と呼んでいいのか。

私は、唸るしかなかった。
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