アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
だが一向に、私の体は飛ばない。

それどころか、やってきた車は、私の横で停まっていた。

「だ、大丈夫?お姉ちゃん!」

次から次へと、車のドアが開いて、車に乗っていた人達が、私の元へ集まってくる。

「は、はい……」

弱々しい声で返事をすると、私の後ろから低い声が、聞こえてきた。


「立てるか?」


振り向くと、そこには……

立派なスーツに身を包んだ、背の高い、紳士みたいな人がいた。

しかも、前髪が少しだけかかった目は、涼し気な細めで、色気を帯びている。

ああ、どうしよう。

今、ものすごくドストライクの好みの人に、会えた気分。


「おい!返事をしろ!」

「へっ!」

ハッと我に返ると、信号待ちしていた人達みんなが、私を覗いている。

「あっ、えっと……」

私は両足を見たけれど、どこも怪我をしていない。

両腕を見たけれど、怪我一つなし。
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