アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
だがその女性は、私を上から下まで、舐めるように眺めた。

「……なんだか、やる気がなさそうね。」

「えっ?」

何を言われているのか分からず、ただひたすら平静を保とうとした。


「内本君。まだ彼女に、話はしてないんだ。」

「そうでしたか。出過ぎた事をしました。」

そして、一礼をすると部屋を出て行った。


「あの……さっきの言葉、何だったんでしょうか。」

折橋さんに聞くと、彼は一笑した。

「まずは、そこに座って。」

「はい。」

折橋さんのデスクの前に、応接テーブルがあって、そこの一番端に座った。

折橋さんも、私の真向かいに座り、ゴホンッと咳ばらいをした。


「さっきは、ごめん。」

「さっき?」

「……エレベーターの中での事。」

「あっ、ああ……」

エレベーターが最上階に着くまで、ずっとキスしていた事を思い出し、恥ずかしくなって顔が赤くなった。

「き、気にしないで下さい。」
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