君にベレー帽は似合わない

愛side

朝起きると彼の姿がなかった。

あんなに楽しみにしてたのに、一体どこへ…?

あれ? 昨日はこんな紙なかったけど……

テーブルの上にある紙にはハルくんの字で、私宛にメッセージが書かれていた。

『メグちゃん、おはよう。ごめんなさい。
急に仕事が入って、デートに行けなくなっちゃった。本当にごめん! また今度行こうね?
ハルカ』

仕事ならしょうがない。
でも…新しいワンピース、見て欲しかったな。
また今度、っていつだろう。

私とハルくんはなかなか予定が合わないから、難しいかもしれない。

まあ、帰ってきたらハルくんに見せればいい、か……ううん。やっぱり、新しい服を着てハルくんとお出かけしたい。

私の、ワガママ……?
こんなこと、言ってられないよね。

デートを忘れるために、家のことを片付けた。

一息ついてコーヒーでも飲もうかとキッチンへ向かうと、カウンターの上に置きっぱなしにしていたスマホがメッセージの受信を知らせていた。

『メグちゃん、少し早く終わりそう。13時に青葉公園の噴水のところにいて?』

え、デートできるの?

『うん、わかった』

ハルくんからすぐに、イルカのスタンプが送られてきた。

急いで準備しないと!
新しい服とメイク、どんな反応するかな?

想像して思わず笑みがこぼれる。

早く、ハルくんに会いたいな。
< 8 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop