ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
第三話 追跡の『鯖(さば)サンド』?
十日後、イクシオン殿下が宮殿に戻ってきた。

私は父との話し合いの結果を聞くため、走って出迎えに行った。

「イクシオン殿下、お帰りなさい」

「ただいま戻った」

「ずっと、待っていたのよ」

「そうか」

イクシオン殿下は口元に手を当て、私から顔を逸らす。

「あの、どうかしたの?」

「いや、そのように、歓迎されるとは思っていなかったものだから」
歓迎なんてしていないから。父との話を、聞きたかっただけで。

「迎える者がいるのは、悪いものではないな」

その気持ちは――わからなくもない。社会人になってから一人暮らしを始めたのだが、誰もいない家に帰るのはなんと味気ないことか。

仕事が忙しくて、猫や犬か飼えなかったし。寂しい前世だった。

イクシオン殿下も同じように、リュカオン以外傍に置いていなかったのだろう。

いや、リュカオンがいるから、私はいらないのではないか。そう思ったが、リュカオンはイクシオン殿下の出迎えなんぞしないのだろう。
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