幸せな結末
「私の病気が分かってから、仕事もやめて時間が増えたらいっぱい気づいたの。朝陽が私をどんなに考えてくれていたか、私のためにいろいろしてくれていたこととか。」
「全然足りてないだろ?」
「十分だよ。十分すぎる。」
理恵がふと朝陽に視線を移す。
「朝陽。」
「ん?」
その瞳から大粒の涙があふれた。
「ありがとう。今までありがとう。」
「なんだよ、その言い方。」
朝陽も理恵の話の流れが思わぬ方向へ向かっていることを感じ始めていた。
「朝陽。」
「ん?」
「今まで本当にありがとう。・・・私と離婚してください・・・。」
「何言ってんだ?」
「これが・・・最後の旅行。」
理恵が泣きながら微笑む。
朝陽は何を言っているのか理解できないという表情だった。
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