嵐を呼ぶ噂の学園③ 大嵐が吹き荒れる文化祭にようこそです!編
わたしたちはひとまず喉が乾いたということで、ドリンクが飲めそうなところを探した。



「ドリンクと言ったら、10組じゃん。波琉、カフェやるって言ってたし、いってみようよ!」


「そうですね。青柳くんの勇姿を拝まなくては」


「そういうこと言うと、波琉、菩薩みたい」



そんな他愛ない話をしていたら、あっという間に10組が見えてきた。



「あっ!あれ、波琉じゃん。ちょうどお休みかな?」


「そのようですね」


「ラッキー!じゃあ、あれにも行けるわ」


「あれってなんですか?」



わたしの質問は生憎届かなかったらしく、園田さんは数メートル先に行っていた。



「波琉、おっつかれー」



急いで園田さんと合流し、ご挨拶。



「青柳くん、お疲れ様です。美味しそうだったので来てしまいました」



青柳くん、なんか疲れてる?


前に畠山さんが手伝ってくれないから大変だとか言ってた。


本当にお疲れ様です。


ゆっくりとお休みください。



「波琉、お金出すから、おすすめちょうだい」



園田さんはお疲れの青柳くんをお構いなしにパシる。


"自分たちで買ってきます"と言おうとしたが、先に青柳くんが口を開いた。



「いい。オレが奢るから、2人はそこで待ってて」


「マジで?波琉、奢ってくれるの?」


「いいから、大人しく待ってろ」


「やったね、ことちゃん。男を上げた波琉からプレゼントだって」



わたしは青柳くんの顔を覗き込んでくすっと笑った。



「練習の成果、出ているようで何よりです。ごちそうさまです」



女心を理解して下さったんですね。


自分を犠牲にしても女性のために気を遣う...。


素晴らしい成長に、わたしは心の中で拍手した。


青柳くんの後ろ姿が凛々しく感じられた。
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