庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす


「えぇ、実は打ち合わせが長引いてしまって。申し訳ありません」
『ところで明日、一緒に食事でもどうかな?』

 あぁやっぱりこいつまだ諦めていないと、すぐに察した。

 だけど飲みに誘われると断れないのが経営者の辛いところ。ここは仕事だと割り切るしかない。

「明日ですね。わかりました」
『じゃあ7時にいつものところで』

 それだけ言うと、俺の返事も待たず電話は切れた。その瞬間盛大な溜息が零れる。そんな俺を見て桜庭が近づいてきた。

「森永氏と明日会食ですか?」
「あぁ」
「彼にも困ったものですね」

 メタルフレームの眼鏡を指で上げると、桜庭がスケジュール帳を開く。

「社長、差し出がましいようですが、森永氏の件はあの仔猫ちゃんには知られないようにしたほうがいいかと」

 そう忠告され椎花の顔が浮かんだ。

 確かに桜庭の言う通りかもしれない。いらない誤解を招く恐れがある。それになにもかも洗いざらい話すことが正しいとは限らない。



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