庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす


「椎花、目真っ赤だけどそんなに辛いの?」

 そう問われ背を向けたまま、思い切りかぶりを振る。

「大丈夫だから、気にしないで」
「大丈夫なはずないだろう。やっぱり薬……」

 心配する千晃くんに「いいって言ってるでしょ!」と、強い口調で遮ってしまった。そんな自分の声を耳にしてハッとする。

 なにやっているんだろう。これじゃ八つ当たりだ。なにもできない甘ったれな自分が悪いのに。


「ごめん、違うの」
「ううん、俺の方こそごめん、無理強いして。じゃあおやすみ」

 千晃くんは私をとがめることなく、静かに部屋を出行った。その途端、大きく項垂れる。

 これ以上千晃くんを傷つけたくない。足かせになりたくない。

 だから私は私の身の振り方を考えなければ。例えそれが辛い結果になったとしても。

 
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