優等生の恋愛事情
最初は“友達の好き”だったのかもしれない。

でも、“小さな好き”が少しずつ積もって、いつの間にか“大きな好き”になっていたんだ。

その気持ちに“恋”という名前をつけることができたのは、三谷くんが勇気を出して一歩踏み出してくれたから。

そうして私に気づかせてくれたから。


「ありがとう」


三谷くんは思い切り優しい笑顔を見せてくれた。


「本当、すごい嬉しい」

「わ、私もっ……」


嬉しすぎて、
恥ずかしすぎて、
どうしたらいいかわからない。


(幸せすぎて、わけわかんなくなってきたっ)


ふわふわして、
ちょっとくすぐったいようで。

夢みたいに甘いようで、
どこか切なく熱っぽくて。

初めての気持ちにどぎまぎしていると――。


「うわっ、LINE。お母さんからだ」


わざと水を差すように、スマホがうるさく受信を知らせた。


「お豆腐とあずきバー買ってきて、だって」


私が「もう!」と文句たらたら苦笑いすると、三谷くんは「まあまあ」と宥めるように優しく笑った。


「そろそろ帰らなきゃだよね。バスだと、学校のほうまで送ればいい?」

「ううん。ここからだと駅のほうが近いから電車で帰るよ」

「じゃあ、駅まで」

「えっ……あ、ありがと」

  
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