優等生の恋愛事情
僕と四条はクラスが同じ。
ロクちゃんは違うけど僕とは幼馴染だ。

そんなこんなで、ロクちゃんが休み時間に遊びに来たりするうちに、いつの間にかおバカな3人組ができていた。


「ところでさ、おまえ知ってる?」


焼きそばパンをたいらげたロクちゃんが、きなこ揚げパンの袋を開けながら僕にたずねる。


「知ってるって?」

「溝口さん、クラス会来るってよ」

「…………ええっ!」


一瞬、頭がポカンとなった。
驚きすぎて、衝撃的すぎて。


「ねえねえ、ロクちゃんもミタニンも何の話してるのさ~。オレにも教えてよ~」


四条が甘えた声でじゃれついてきたけど断固拒否だ。こいつに言ったら、勝手におもしろがってまたふざけるから。


「嫌だ。教えない。もう、暑いんだからくっつくなよ」

「あーん。ロクちゃーん、ミタニンが意地悪する~。オレも話に混ざりたぁ~いよん」

「ロクちゃん、四条に余計なことは――」

「夏休みに中学んときのクラス会があんだけど、諒の好きな人も来るみたいでよかったね!という話だ」

「んま!ミタニンたら!」

「ロクちゃんっっ」


(もう、何でつるっと言っちゃうかなぁ)


「そのナントカさんて人がミタニンの好きな人なの?」

「ナントカさんじゃなくて溝口さん」


僕は半分開き直って、ぶっきらぼうに答えた。


「あー、はいはい。溝口さんね。それで、ミタニンはクラス会で告ろうと思っているわけだ」

「おまえには関係ないだろ」

「きぃーっ!ロクちゃーん、ミタニンが可愛くなーい」


(ああもう、僕をそっとしておいてくれ……)


会いたくて、ただ会えるのが嬉しくて。
話したくて、また話せると思うだけで幸せで。
でも、やっぱり――それだけじゃ嫌なんだ。

久しぶりに会って「懐かしいね」と笑い合って、そうしてまた僕は何もなかったように、僕だけの毎日へ戻るのか? そんなのが望みじゃない。


(けど、告白するってどうすれば……)


「溝口さんて、諒のこと好きだと思うぜ? てか、絶対好きだろ?」

「はあ!? ロク、ちゃん何、言って……っ」


ロクちゃんの想定外の発言に、フルーツオレが気管に入ってゲホゲホむせた。


(そりゃあ僕だって、彼女が僕を好きでいてくれたら嬉しい。嬉しいに決まってる。けど……)
< 7 / 169 >

この作品をシェア

pagetop