脳ストライク2ボールおじいちゃんと一緒
すると、小百合が明美に、
「何で明美さんは陸が好きなの?…いい加減でやる気もないし、親の私達でも理解不能なのに…」
「確かに陸は、チャランポランだけど、誰の悪口も言わない素直な所が好きなんです。 すみません…」
「私ね、ずっと共働きで、五年前に亡くなった、おばあちゃんに陸の事を任せてね、おばあちゃんには大変、助けられたわ…私達は陸が欲しい物があれば、何でも、
 お金で解決してた気がする。」
 三人はずっと陸の意識が戻る事を信じて待ち続けた。
 陸は集中治療室で病状を監視しながら一週間が過ぎ、
 そして、一一月二日…
 小百合は窓の外を覗き、秋の寂しさで看病疲れでを感じていた。
 その時、窓の外で、激しい強風が吹きあれ小鳥が一斉に飛びたった。
 窓ガラスも揺れ爆風を感じる感覚で、陸の体が揺れ始めた。
 陸の横に座っていた明美が慌ててナースコールを呼んで、小百合が陸の手を強く握った。
 陸は小百合に応えるように、弱い力だったが握り返して来た。
 強風は止み窓から赤い光が陸に差し込んだ。
 陸の目が徐々に開いて周りを、ゆっくりと見回した。
「陸、お母さんだよ。お父さんも明美さんも居るよ!」
 義男と小百合は喜びを抑えきれず、陸を抱きしめた。
 担当医の鬼塚先生がやって来て、脈を測り、
「陸君、意識が戻りましたよ。もう、大丈夫です。」
 と信じられない感じで喜びを伝えた。
 明美も溢れ出る涙を拭きながら奇跡を喜びあった。
 
 
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