Fairy Ⅱ
きっと彼女も彼らに拾われ、殺し屋の仲間入りをしたのだろう。




「 Fairyって、かなり腕のいい殺し屋なんですよね?そんな所に、俺みたいなのを入れても良かったんですか? 」

『 …うーん。烏禅くんと初めて会った日…二年前かな?あの時、私もFairyに入りたてだったの。あの頃はまだ、人を殺したことなんてなかったな〜。 』




紅苺さんは少しだけ考えるようにして言うと、懐かしそうに目を細めながらそんなことを言った。


…だからあの時は、まだ目に輝きを残していたのか。

あの時の彼女は、まだ人を殺したことがなかった。
まだ少しの純粋さは残していたから、目の輝きも微かにはあったんだ。

けれど、もう人を殺してしまった。
だからきっと、彼女の目は黒く濁ってしまったのだ。




「 まだ、二年しか経ってないんですね。 」

『 うーん…そう言われると、短く感じるね。 』




紅苺さんはそっと窓を閉じて、白いカーテンで蓋をした。
さっきよりも少しだけ薄暗くなった部屋の中を、ほんの少しだけ静寂が包み込む。

どうしようか、何を話そうか、なんて考え始めた頃には、紅苺さんが『 でも 』と、口を開いていた。




『 晴雷さんや游鬼さんが認めたんだから、大丈夫だよ。私なんて、烏禅くんみたいに拳銃を扱うのが上手い訳でもなくて、本当にただの一般人だったし。 』




彼女の声は高くも低くもなく、とても心地の良いものだった。

その声で " 烏禅くん " と呼ばれる度に微かな苦しみが心臓を包み込む。そして、無意識に " 翔湊くん " と、その優しい声で呼ばれたいと思ってしまった。


俺の、本当の名前を。




『 でもね、才能があるって言ってくれたの。それで今はこの通り、この仕事を続けてる。 』

「 …楽しい、ですか? 」
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