Fairy Ⅱ




[ なぁ、一緒にゲームやろうぜ!さっき見てたけど、お前超上手かったじゃん! ]




…初めて、そんなことを言われたかもしれない。

高校に入って初めて仲良くなった奴だって、自然と俺から離れていったし、母親も俺がゲームをする姿を見ては、深いため息をついていた。


あぁ、、こういう奴もいるんだな。

そう思って、俺はついそいつらと一緒にゲームしてしまった。そこからよくつるむようになったものの、関係はもちろん悪化していった。
直接暴力を振るわれるとまでは行かないものの、金を要求されたり、あれを買ってこい、これを買ってこいとパシリにされたり。

面倒なことになってしまった。母親の財布から、もう何万も盗んでる。
文句を言えばどうなるか分からないし、あれ程の人間に怯えている自分が情けなかった。


そしてある日、ゲームの誘いを断ると。





《 絶対に来い。来なきゃぶっ殺す。 》




と、一件のメールが入っていた。

面倒臭いと思いながら恐怖を少し感じて、黒いフードを被って家を出る。[ こんな時間にどこに行くの?! ]と言う母の声は、もう聞こえなかった。

ゲームセンターへ向かうと、いつものようにニコニコしている不良達。けど、俺は笑うことが出来なかった。


そのまま、ゲームセンターの中ではなく暗い路地裏に連れて行かれる。
何となくこうなることは分かってたけど、いざその場になると思わず逃げ出してしまうもので。でももちろん、呆気なく捕まってしまった。

殴られたり、蹴られたり、あるいはバットのようなもので叩きつけられたり。
痛みのあまり目眩がして、口内には鉄の味が広がる。
立つことが出来なくて座り込むと、ドラマで聞くような[ 何座ってんだよ、立て! ]とセリフが響く。

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