透過 色くんは何色?
______ 始まりは、湿気が漂う梅雨の時期のことだった。
《 星屑学園探偵部、第二学年生A組、碧藍 夢冰さん、榎葉 碧くん。第一学年生C組、冴夜 緋音さん。至急、理事長室まで来てください。 》
校内に鳴り響いた声と共に、私に向けられる視線。
それは隣にいる碧にも注がれて、思わずお互い顔を見合わせた。
「 …私達、何かやらかしたっけ? 」
「 いや、そんな覚えねぇけど…多分。 」
口の端を無理やり上げながらそう聞いてみると、碧
は眠そうに欠伸をしながらそう答え、最後に言葉を濁らせた。
碧藍 夢冰…それは私のことで、榎葉 碧はこいつ、私の隣に居る幼馴染みのことだ。
私達はここ、星屑学園の探偵部に所属している部員で、私は一応、そこの部長。部員数は私達を合わせてたったの三人で、あともう一人は、先程呼ばれていた一年生の女の子。
部活内容は、主に生徒達の悩み事を解決すること。
誰と誰が喧嘩をしたから仲直りさせて欲しいだとか、勉強を教えて欲しいだとか、いじめ問題を解決して欲しいだとか…他にも依頼されることは沢山あって、それは、小さなものから大きなものまで様々だ。
依頼されれば、私達はそれを受け取って解決する。
そのせいか、私達の顔と名前は殆どの生徒に知られていて、クラスメイトからもしょっちゅう頼み事をさせられる始末だ。
頼られるのは嫌いじゃないから、別にいいんだけど…。
「 なぁ、お前がまた下級生にでも世話焼いて何かやらかしたんじゃねぇの? 」
「 はぁ?何もしてないって。碧こそ、部活サボって何かやらかしてたんじゃないの? 」