明日は明日の恋をする
「えっと、何の…話ですか?」

「実は、会長の秘書として来週から2週間くらい出張に行く事になったんだ。会長っていうのはケイスケの父親ね。それでその俺がいない2週間の間、誰を社長秘書に就かせようか悩んでたんだ。」

「へぇ、そうなんですね…って、まさか?」

「明日香ちゃんなら俺の代わりやれると思うんだけど。」

高瀬さんは満面の笑みで私を見る。私が社長秘書?いやいや、完全に無理だから。

「無理ですよ。私、何の知識もないし秘書なんてやった事ないし。」

「大丈夫だって。なぁケイスケどう?1週間、明日香ちゃんを俺に預けてくれれば秘書として仕上げてみせるけど?」

「…明日香、2週間だけ俺の秘書やってくれるか?」

しばらく考え込んでいた進藤さんだったが、高瀬さんの提案に乗る事にしたようだ。

「私に出来るかなぁ…分かりました。頑張ってみます。」

正直不安しかないが、必要とされているのなら努力してみよう。そう思って私は承諾した。

「俺が出張に行く前の1週間、明日香ちゃんは俺のマンションに泊まり込みで勉強ね。」

「泊まり込みですか?」

高瀬さんのマンションに1週間泊まり込み…。思わず進藤さんの方を見る。

「仕事以外の余計な事は、もちろんしないよな、ナオト?」

「うわぁ、俺ってそんなに信用ない?まぁ勉強中は職場仕様で接するよ。ね、水沢さん。」

「はい、高瀬課長。」

「おっ、なんかいいね…良いプレイが出来そう。」

「ナ~オ~ト~お前は…。部下に手を出したらタダじゃおかないからな。社長命令だ。」

進藤さんは高瀬さんにヘッドロックの技をかける。

「痛っ。分かった分かりましたよ社長、仕事はきっちりしますから~。」

「よし。という事で安心しろ明日香。」

2人のやり取りが可笑しくて、私は笑ってしまった。

「日曜日の夜、迎えにくるから準備しててね、明日香ちゃん。」

そう言うと、高瀬さんは帰っていった。
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