明日は明日の恋をする
ハンバーガーを食べ終わる頃に進藤さんが戻ってきた。

「食べ終わったか?行くぞ。」

ハンバーガーショップを出て、また車へ戻る。私は助手席に乗ってシートベルトをした。それを確認すると進藤さんは車を走らせた。

「次は何処へ行くんですか?」

「お前の住んでいたアパートだ。荷物があれば持って帰るぞ。」

そう言うと、進藤さんは昨日まで私が住んでいたアパートへ向かった。しばらくしてアパートの近くに着くと、車を降りてアパートまで歩く。アパートを目の前にすると、火事の焼け跡が私の足を止めた。

「明日香ちゃん。」

呼ばれて振り向くと、アパートの大家のおばさんがいた。大家さんは私がアパートに引っ越してきてから、いつも私の事を気にかけてくれていたお母さんみたいな人だ。

「大家さん…。」

「明日香ちゃん、ごめんね。こんな事になっちゃって。」

「大家さんが悪いわけじゃないから。それにしても結構アパート燃えちゃったね。怪我人がいなくて良かった。」

「明日香ちゃん、実はこのアパート…このまま取り壊してしまおうかと思ってるの。ずっと息子夫婦に一緒に暮らそうって言われていたんだけど、これを機にと思って。」

「そうなんだ。あ、私なら大丈夫だよ。住み込みの仕事見つけたから、引っ越ししようと思ってたの。」

「本当かい?それなら良かった。明日香ちゃんの事が気掛かりでね。部屋も燃えてしまったし、何とかしなきゃって思ってたのよ。」

ずっと申し訳なさそうな表情だった大家さんだったが、住み込みの話をすると安堵の表情を見せた。

「アパートの大家さんですか?私は水沢さんに住み込みの仕事をお願いした進藤と申します。」

眩しいくらいの営業スマイル…。仕事モードのスイッチを入れた進藤さんが笑顔で大家さんに挨拶してきた。

「まぁ、これはこれはご丁寧に。…ちょっと明日香ちゃん、いつの間にこんな良い男捕まえたの?住み込みっていうより、同棲じゃないのかい?」

「ど、同棲って、全然違うから。」

大家さんは進藤さんに頭を下げてから、ニヤニヤしながら小声で私に話しかけてきた。何か勘違いしているみたいだ。
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