ギザギザハートのマイフェアレディ
○豪邸の前

茉弥、あまりのスケールの豪邸に仰天している。

茉弥「こ…こげなとこ、入れんが…!」
篤志「今日からあなたの家なのですから、
  どこを使ってもいいんですよ。」
  「メガネ屋さんも呼んであります。
  さあ。」

広い部屋に、スーツを着たメガネ屋さんがたくさんのトランクを並べて待っている。

茉弥「メガネ屋さんを、呼ぶって…!」
篤志「ここにあるフレームでとりあえず作って、
  何本かオーダーしましょうか。
  可愛いのがいいですよね?」
茉弥「一本で充分です!!」

そこで、茉弥の電話が鳴る。
彼氏からの着信。

茉弥「あ…っ!」
  (どうしよう…!
  すごく待たせてる!
  また怒られる…。)

一瞬茉弥が電話に出るのに怯んでいると、
スッと篤志が手を出して、電話を取り、応答する。

男『おっせーんだよ!!!!
 何してんだよ!?
 ほんとてめー使えねーな!!!』

電話に出ていない隣の茉弥にまで聞こえるほどの怒鳴り声。
ひきつった表情の茉弥。
その茉弥を見て、顔をしかめる篤志。

篤志「失礼ですが。」
男『あ!?
  誰だてめー!!』
篤志「私は今から茉弥さんとお付き合いをさせていただく者です。
  恐縮ですが今後一切茉弥さんに関わらないでください。」

茉弥「え!?
  そげなこと、聞いちょらんが…!」

男は電話の向こうでなにかを喚いているが、
篤志は電話を切ってしまう。
そして、その電話を控えていた執事に渡して、持っていかせる。

茉弥「勝手なこつせんでください…!
  誰もここまでしてくれって頼んでません!」
  「どうしよう、もう大学行けんが…。」
篤志「…茉弥さん…。」

篤志、茉弥を抱きしめる。

篤志「誰もあなたのことを無下にできないように、
  素晴らしいレディになりましょう。」
  「あなたは逃げる必要も、隠れる必要もありません。
  一年後、誰もがあなたを愛してくれるように…。」

茉弥「そげんこつ…」
  「そんな、できるわけなか…。」
  「ブスで、暗くて、田舎もんで、
  こんなあたしなんか…。」

篤志、茉弥の肩に手を添えて

篤志「大丈夫、悩んでいること、
  全部僕が解決して差し上げます。」
  「任せてください。
  心配しないで、魔法にかけられてください。」

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