寡黙なダーリンの秘めた愛情
「ねえ、蓮くん、明日は大学の同級生や教授に会いに行こうと思うの。ちょうど同期会をやるらしくてね。懐かしいから行ってもいいかな?」

ジムとホイットニーと別れ、蓮と美咲はあの思い出の一室に宿泊している。

シャワーを終え、テーブルにはあのときと同じ、ストロベリーサワーとストロベリータルトが乗せられている。

「ダメだ。せっかくの新婚旅行を同期会ごときに汚されたくない」

背中から抱き締められ、美咲の胸はキュンと高鳴った。

「こうしていると、美咲の20歳の誕生日のことを思い出すな。あの時、俺がどれ程癒され安堵したか美咲にはわからないだろうな」

美咲は、黙って蓮の言葉を聞いていた。

「初めてのアルコールも、キスも、それ以上も、全て俺と一緒に体験して欲しかった。美咲のことは生まれたときからずっと知ってる。俺の知らないところで美咲が一人で暮らしているなんて、不安で仕方がなかったんだ」

「もう、本当に過保護なお兄ちゃんなんだから」

美咲の照れ隠しの言動を聞いて、蓮は不服そうに美咲の耳元に唇を寄せる。

「妹にこんなことはしないよ」

甘い囁きをこぼす唇が、美咲の耳元から首筋を這う。

「美咲も八雲メディカルコーポレーションも俺が守っていく。そのためなら多少の犠牲は厭わない。だから、美咲のすべてをちょうだい」

゛多少の犠牲゛

゛由利亜とのことは多少の犠牲で収まることなのだろうか...゛

もう、美咲は蓮を愛してしまっている。

こうして身体を重ねてしまったら、美咲が後戻りできなくなることを、蓮は理解してやっているのだろうか。

゛それも癒しで片付けるの?゛

多くを語らない寡黙な蓮の甘い囁きも、美咲にとっては諸刃の刃でしかなくなっていた。

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