寡黙なダーリンの秘めた愛情
「ご懐妊ですね」

「はい?」

「おめでたです」

「オシッコだけでわかるんですか?」

「日本の検査キットの性能はピカ一です。正常妊娠かどうかは超音波検査をしなければわかりませんが、おそらく妊娠は間違いないでしょうね」

女医の言葉に美咲の頭はフリーズした。

゛いつかは゛

そんな甘い気持ちで結婚し、妊娠をした自分の浅ましさを改めて馬鹿だと悟った。

由利亜のことも、蓮の本音も、全て受け止めて結婚したはずだった。

でも、実際はどうだろう。

愛のない結婚、偽りだらけの家庭生活。

そんな中で生まれてきた子供が幸せになれるのだろうか?

「旦那様もお見えでしたら一緒にご説明しますよ。しかし内科ではこれ以上のことはできませんので、産婦人科へご紹介させていただきますね」

「いえ、一緒に来ているのは夫ではなく友人なので説明は不要です」

美咲の言葉に、何か不穏なものを感じたのか、その内科医は、看護師の指示に従って産婦人科へ行くように説明しただけで余計なことは何も言わなかった。
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