寡黙なダーリンの秘めた愛情

「じゃあ、まずはイエスかノーで答えて。二人きりになって、何か言われたことは？」

コクン。

「あるのね。その時、何て言われたの？」

詰め寄る萌の問いに

「『私達が付き合ってるのを知っててなんで蓮くんと結婚するのか、あなたにはもっと若くて素敵な人がいるだろう、なんで蓮さんを私から奪うの』って・・・」

美咲がボソボソと答えると

「crazy・・・。美咲命の蓮が、間違ってもあんな正反対のケバい女を好きになるはずはないわよ」

ホイットニーが肩をすくめる。

「それ、いつの話？」

萌の質問に

「仕事を早退した日」

と、オズオズと美咲が呟く。

「まさか、あの押さえてた左頬・・・。虫歯だって言ってたのは嘘なの？あの女に叩かれたからなの？」

早退する際、誰にも言わずに早退するわけにはいかず、美咲は総務の萌に歯医者に行くと言って誤魔化して早退していたのだ。

肯定しないように気を付けているのに、いつもの癖は治らず、唇を噛んで俯いてしまう美咲。

「結婚式の前に新婦の心と体に傷つけて！人生の晴れ舞台の結婚式に美咲が元気なかったのは、蓮さんへの疑惑とあの女への罪悪感があったからなのね！ほんとに許せない」

キィ！っと声を上げて怒り狂う萌とホイットニー。

美鈴もジムも難しい顔で何かを考えている。

「で、でも、本当に付き合ってるんだと思うよ。蓮くんもそれらしいことを言ってたし」

「えっ？いつ？」

「私の20歳の誕生日、蓮くんと美鈴ちゃんがアメリカに来た日」

「なにやってんの、蓮ったら！」

四人は口々に愚痴を言い合っている。

「今日帰ってきたら問い詰めてやる！蓮の口下手と、あの女の策略にまんまと嵌まって、お陰で私たちまでハラハラさせられて来たんだから！」

「・・・ごめんなさい」

「美咲のせいじゃない。全部あの女と蓮が悪いの」

゛四人の間では、いつの間にか蓮くんと赤池さんが悪者になっている。私が邪魔したんじゃないの？゛

ここまで言われても、美咲は今まで信じてきたことを否定できずにいた。