寡黙なダーリンの秘めた愛情

ご対面

蓮と誠也はホテルのフロントに着くと、クラークに耳打ちをしてエレベーターに乗った。

蓮は、スイートルームに戻らずに2階で降りると、クラークからの連絡を待つ。

10分後、蓮のスマホに着信が入ると、階段を使ってフロントに向かった。

「赤池さん、こんなところでデートですか?」

フロントで受付をしていた男女が、声をかけてきた男性を振り返る。

「じょ、城之内部長・・・」

赤池由利亜は、自分よりも背の高いスーツの男性を背後に隠すようにして狼狽えた様子で蓮を見つめた。

「か、彼は京都に住んでいる親戚で・・・」

「へえ、背格好も服装も、そしてメイクされた顔まで私にそっくりな、この方が従兄弟?」

突然現れた蓮に動揺を隠せない由利亜と対象的に、後ろにいるレンジは

「へえ、実物を見るのは初めてだけど、結構いい線いってたんだ、俺」

と面白がって笑った。

「レン・・・ちょっと、あなた、余計なことは・・・」

「いや、私は何故彼が私の物まねをしなければならなくなったのか、その経緯にとても興味がある。ここではなにかと都合が悪いでしょうから、場所を変えても?」

「いえ、私達は用事が・・・」

「いいっすよ」

拒否しようとした由利亜と反対に、レンジがあっさりと承諾する。

3人は、ホテルの上階のバーラウンジへ移動した。
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