溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる
距離(玲奈side)
帰宅してシャワーを浴びた。
病院での二人の姿が脳裏に浮かぶ。
親公認の婚約者で、彼女は私達の関係を容認して、
いづれ自分のもとに彼が戻ると信じてる。
あの笑顔。
そう考えると、彼女を不幸にしているのは、邪魔なのは私。
遊びなの?。一年の期限、最初から私が言ったんじゃない。
彼が遊ぶにはちょうどいい女。
遊び慣れてそうだから近づいたけど、実際は未経験女で
頃合いみて引くつもりの都合のいい女か。

考えれば考えるほど、シャワーと一緒に涙が流れた。

いい人だと信じていたのに。
彼の態度が不誠実には思えないだけに、見る目がないのかと自分が呆れる。

お風呂で流すだけ流した涙。思ったほど腫れなくて良かった。
アイスバッグで冷やせばいいか。
くよくよしてられない。
お邪魔虫は私。泣ける立場じゃないんだ。
関係をきちんと清算した方がいいのかもしれないけど、
そんな気力は今はない。

オペまでわずかだ。
食べて、寝て。お母さんは勘がいいから、私が元気ないと心配する。
オペまでは今後一切の連絡を断とうと、その間に彼も冷めて無かったことに
するかもしれない。程のいいメール文面を考える。


“しばらくオペに集中したいので、メール出来ません。ご理解下さい。”



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