言葉にならない愛を、君に


「勇也くんと航平くんどっちかと付き合わないの?」

「え?」


ごはん作りの手伝いをしていた私の手がとまる。


「なに、いきなり」

「いや、そういう感情ないのかなって思っただけよ。いつも一緒にいられるわけでもないでしょ?」

「そんなこと、ないよ。これからもずっと一緒にいるよ」

「そうはいっても、勇也くんだって航平くんだっていつか大事な人ができるかもしれないんだし」


それはわかってた。

でももてるのに、勇也も航ちゃんも今まで誰とも付き合ったことがなかった。

もちろんわたしも。

3人が3人とも幼なじみというレールに縛られているっていうのもわかってる。


「でも2人ともわたしのこと幼なじみとしか思ってないもん」


恋愛として2人をみたことがないように、きっと2人もわたしのことを恋愛としてみたことがないと思う。


「そう、まあ葵も早く彼氏できるといいね」

「・・・うん」

気まずい雰囲気の中、もくもくと手を動かす。

こういう話は苦手。

人の恋愛話は好きなのに、自分のことは話せない。



もう高校2年生にもなって、彼氏ができたことがないのはおかしいこと?

そんなに恋愛って大事なの?

考えれば考えるほどわかんなくなる。
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