あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
今…颯馬は何て言った?

結婚を前提に付き合う…?

パパが私の知らないところで颯馬とそんな約束をしてたの?

「仕事は、母が小さいですが洋菓子店を営んでいるので、今後は僕はそこで働くつもりです。

レストランだと忙しくて彼女といる時間がへってしまいますからね」

颯馬が有名人だといった意味をようやく理解する。

ちょっと待って……

何これ…。

恋人が現在いない私は、颯馬の帰国を待っていたってことになってるわけ…!?

「凄いわね~颯馬くん。
テレビであんなに堂々と!
杏、あんなにイケメンになって帰ってきたんだから、諦めてお嫁にいきなさい」

クスクス笑うママをジロッと睨み付け、手を伸ばした紅茶のシフォンにかぶりつく。

「美味しい!」

ふわっふわのシフォンケーキに思わず目を見張り、このケーキの作り手にまた目をむける。

三年ぶりの彼はやっぱりイケメンだ。

テレビの中の颯馬は私の知らない大人びた顔で微笑みながら、

「大好きな彼女を甘やかしに行くので、見かけても邪魔しないでくださいね。」

私はケーキを口にしたまま、画面の颯馬を見てそのまま固まっていた。
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