あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
確かに振り回していた意識はある。

大学の飲み会、颯馬はいつだってすぐに電話にでて

「どこにいるの?」

とため息はつくものの、いつも迎えにきてくれた。

帰りたくないとふざけて誘ったホテルでも、私が寝付くと颯馬は大きな体をはみ出させながら、ソファで眠っていた。

颯馬は小さい頃からよくもてた。

毎年たくさんのチョコをもらっていたのを知っている。

断ることができない颯馬にはいつも彼女がいた。

それでもいつだって彼の優先順位は私が一番だ。

その度に、颯馬は彼女にふられるのだ。

見て見ぬふりをして、私はずっとそんな颯馬に甘えていた。

何があっても颯馬は私のそばにいてくれると信じていたから。
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