あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
「前島さんも!ってひどくないですか!?坂口さんのついでですか」

一緒に受け付けにいた前島さんが口を尖らせる。

声をかけてきた企画部の本田さんが苦笑いしながら
「いや、そんなことないってば。
二人ともどうかな?」

とちらりと私を見た。

「ごめんなさい。
私今日は先約があって。
また誘って下さいね」

「はぁ…。
なかなか来てもらえないなぁ。
わかった。また誘うよ。
今度はランチ誘うよ。
それぐらいならいいだろ?
で、前島さんは?
大丈夫だよね?」

「もちろん大丈夫です!
坂口さんのかわりになれないですが行かせていただきます」

「ん、まってるよ。
六時半から"くりぼうず"ね。
じゃ待たね、坂口さん」

にっこり笑い片手を揚げた本田さんに頭をさげる。

企画部の本田さんは、度々誘いに来てくれる。

彼だけではない。

他の部署からの誘いも多々あるのだ。

恋人がほしいなら参加するべきなんだと思う…。

でも…"コノヒト"と思えないのだ。
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