あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
私の視線に気づき

「なんかさ、帰国してすぐウェディングケーキの以来が何件かきちゃってさ。

断ったんだけど母さんの店の常連さんでどうしてもって頼み込まれて」

「見てもいい?」

「あぁ、かまわないよ。」

差し出されたデザイン画を見つめ、改めて颯馬が三年間どれ程頑張ってきたのか理解する。

「素敵…」

思わず感嘆の声がもれる。

「私も颯馬に作ってほしい…ウェディングケーキ…」

「はぁ。
お土産よりこっちの方に興味あるんだ」

「あっ!
ごめん、颯馬。
でもあまりにも素敵で、颯馬が三年間頑張ってきた結果だなってなんか感動しちゃって」

私の言葉に嬉しそうに目を細める。

「ありがとう。

でも…自分の結婚式のケーキかぁ。

忙しくて作ってらんないぞ?」

口角をあげで意地悪く笑う颯馬の顔を見て

「えっ?」

彼の言葉をすぐに理解して私の顔が一瞬で赤くなる。


「でもまぁ一生に一度のことだし、可愛い杏の頼み事なら、叶えなきゃダメだよな。

まかせとけ!

最高に美味しくて可愛いいケーキ作ってやるから。

そのかわり、杏とケーキカットするのは俺だからな」

「それは…颯馬の努力しだい…かな…」

尻窄みな小さな私の声は、颯馬の耳には届いたようで、目の前には思いっきり破顔した嬉しそうな瞳が私を甘く優しく見つめていた。

部屋の中には、甘くとろけるような香りが漂い、私はこの香りと颯馬にくらくらしてドキドキが止まらなくなっていた。
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