シュガーレスでお願いします!

世界一のパティシエに何をさせてるんだと思ったけれど、私もお土産選びの参考にさせてもらったんだから同罪だ。ごめん、慶太。でも、すごく役に立った。

「まあ!!それなら安心ね」

香子先生は慶太のお墨付きがあると知ると、ちんすこうにすぐさまぱくついたのだった。

「あ、俺ももらっていい?」

「はい。阿久津先生もどうぞ」

「いや~。俺もこのちんすこう好きなんだよ~。嫁さんと娘にも持って帰っていい?」

「ええ、どうぞ。大目に買ってありますから」

そう言って甘い物ならなんでもござれの甘党過激派の阿久津先生にちんすこうを家族分お渡しする。

阿久津先生もお子さんいるんだよな……。家ではパパって呼ばれているんだろうか。

沖縄から帰ってきてからというもの、子供のことばかり考えてしまう。

あの日、一翔くんを絵本を読んで寝かしつけてから部屋に戻ると慶太は先に寝てしまっていて、結局その後沖縄から戻ってからもあの夜の続きをする機会には恵まれていない。

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