シュガーレスでお願いします!

慶太はルームウェアと下着を器用に脱がし、フローリングの床に落としていく。

こんなところでも手先の器用さを発揮しなくてもいいのに。

ジュテームの国、フランスでスイーツ作り以外のことも学んできたんじゃないかと疑いたくなる。

こうして、慶太は今日も私を余すところなく味わいつくすのである。

“新婚生活はどうなの?”

久し振りに訪れた慶太との蜜月の最中、香子先生の声が頭をこだまする。

慶太との生活はまるで糖蜜で満たされたプールに飛び込んだかのよう。

もしくは、ふわふわのマシュマロに四方八方から優しく包まれたかのような不思議な心地になる。

(……誰にも言えるはずがない)

食生活はシュガーレスを貫いている私が、事務所の誰もが想像していないような甘ったるい新婚生活を送っているなんて、とても口にできやしない。

そして、この新婚生活こそが私を大いに悩ませているのだった。

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