蝉のなく頃に
20代前半、入りたての会社で仕事を覚えるのに
必死で、それでも早くに結婚し、
寿退社していった子もいた
20代後半になると、周りが結婚しなきゃと
相手探しに没頭しながら
30という数字を目前に結婚ラッシュ
30代の先輩たちは子どもを授かったと
次々と会社を辞めていった
結婚ラッシュに辿り着いた三十路手前
私は相手もいないまま来月、三十路を迎える
「んじゃ、また誘ってー」
「気をつけてねー」
駅で船瀬と別れて1人家路へと歩きだした
顔が少し火照っているが意識はちゃんとしている
気分が良い。
だけど、どこか落ち着かない
「遠坂」
後ろから私を呼び止める声
振り返ると、相沢が片手を上げた
「相沢?こっち方面だっけ?」
相沢は私の問いかけには返さず私の左側を
自然に歩き始めると
コンビニに寄るから付き合えと腕を引っ張られた
コンビニでみかんの味がする水を私に手渡した
私がいつも飲んでるやつだ。
「……ありがとう」
相沢は栄養ドリンクを袋から出し
グイッと飲み干すと
「よしっ行くぞ」と、
また私の腕を引っ張り歩き出した
必死で、それでも早くに結婚し、
寿退社していった子もいた
20代後半になると、周りが結婚しなきゃと
相手探しに没頭しながら
30という数字を目前に結婚ラッシュ
30代の先輩たちは子どもを授かったと
次々と会社を辞めていった
結婚ラッシュに辿り着いた三十路手前
私は相手もいないまま来月、三十路を迎える
「んじゃ、また誘ってー」
「気をつけてねー」
駅で船瀬と別れて1人家路へと歩きだした
顔が少し火照っているが意識はちゃんとしている
気分が良い。
だけど、どこか落ち着かない
「遠坂」
後ろから私を呼び止める声
振り返ると、相沢が片手を上げた
「相沢?こっち方面だっけ?」
相沢は私の問いかけには返さず私の左側を
自然に歩き始めると
コンビニに寄るから付き合えと腕を引っ張られた
コンビニでみかんの味がする水を私に手渡した
私がいつも飲んでるやつだ。
「……ありがとう」
相沢は栄養ドリンクを袋から出し
グイッと飲み干すと
「よしっ行くぞ」と、
また私の腕を引っ張り歩き出した