友達以上恋人未満
帰りの駅までの間に、お

互いの携帯を翳し赤外線

でアドレスを交換した。

『携帯がキスしてるみたい』


彼女は勝手に恥ずかしく

なった。勝手にである。

その事も朝から思い出さ

れてまた恥ずかしくなった。


家から車で30分の所に彼

女の好きな海がある。休

みの日は天気がいいと、

そこでのんびり過ごすの

が好きだった。そこは、

彼女にとってのお気に入

りの場所だった。そして

特別な場所だった。


「お母さんちょっと出掛けてくる」


「また海行くのかい?あんたもそんな海ばっかり眺めて、よく飽きないね。」


「うん、飽きないよ。」

「気を付けて行くんだよ」


「はぁい」


いつもだったら


「うるさいなぁ、いいでしょ!」


って可愛げのない返事し

かしないのだが、今日は

違った。そんな自分も好

きだった。


『私って可愛いじゃん』
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