君への愛は嘘で紡ぐ
笠木さんが丸椅子を叩き、私はそれに座った。
「それにしても……まさか本当に金を出してくれるとは思わなかったな」
笠木さんは思い出し笑いをしている。
「でも、結婚は許してくれたのかわかんねえや」
言われてみれば、お父様はそれについて言及していなかった。
だけど、なぜか安心していた。
勢いで笠木さんとの結婚を決めたが、先のことなど一切考えていなかった。
「笠木さんは、私と結婚して……後悔、しませんか?」
「しないよ」
即答だった。
嬉しい反面、不安は大きくなる。
「ああ、でもそうか。結婚しても、俺が円香を養えるかって言われたら、無理なのか」
笠木さんは思いついたように言った。
お父様に頼れば、お金の心配はしなくてもいい。
だが、そこまで甘えるつもりはない。
「俺がちゃんと働けるようになるまで、婚約ってことにしておくか」
笠木さんは笑顔で提案してきた。
反対する理由がなかったため、素直に頷く。
「そうだ、忘れてた」
笠木さんが独り言のように小声で話すから、無駄に緊張する。
私は黙って次の言葉を待つ。
「結婚したら苗字が一緒になるわけだから、今のうちに下の名前で呼ぶことに慣れておこう」
「それにしても……まさか本当に金を出してくれるとは思わなかったな」
笠木さんは思い出し笑いをしている。
「でも、結婚は許してくれたのかわかんねえや」
言われてみれば、お父様はそれについて言及していなかった。
だけど、なぜか安心していた。
勢いで笠木さんとの結婚を決めたが、先のことなど一切考えていなかった。
「笠木さんは、私と結婚して……後悔、しませんか?」
「しないよ」
即答だった。
嬉しい反面、不安は大きくなる。
「ああ、でもそうか。結婚しても、俺が円香を養えるかって言われたら、無理なのか」
笠木さんは思いついたように言った。
お父様に頼れば、お金の心配はしなくてもいい。
だが、そこまで甘えるつもりはない。
「俺がちゃんと働けるようになるまで、婚約ってことにしておくか」
笠木さんは笑顔で提案してきた。
反対する理由がなかったため、素直に頷く。
「そうだ、忘れてた」
笠木さんが独り言のように小声で話すから、無駄に緊張する。
私は黙って次の言葉を待つ。
「結婚したら苗字が一緒になるわけだから、今のうちに下の名前で呼ぶことに慣れておこう」