結婚してみませんか？
私が来たかったのは、初めて智章さんと入った居酒屋さん。店内に入ると、前と変わらない活気に溢れた店内で、元気な店員さんが席に案内してくれた。

「乾杯。」

ビールを飲みながら、私達は話を始める。

「なんか色々あったけど、俺と恋ちゃんが知り合ってまだそんなに時間経ってないんだよね。」

「そういえば…そうですね。」

2人で出会ってから今までの事を懐かしむ。そしてあっという間に時間は過ぎ、店を出た。

「帰ります？」

私はこの後どうするかを尋ねた。すると智章さんは笑顔で即答する。

「いや、もう一軒付き合って。」

そして着いた先は、前回と同じお洒落なバー。相変わらず落ち着いた雰囲気の店内へ入りカウンター席に並んで座ると、カクテルを注文した。

「恋ちゃんの理想の結婚相手じゃなくてごめんね。」

そう言って智章さんは私の方を見て話し出す。

「でもさ、恋ちゃんを幸せにする自信はあるから…。」

智章さんが何か言いかけたところでカクテルがきた。智章さんは手元に置いてあるカクテルを持ち上げる。乾杯かなっと思い私もカクテルを持ち上げ、乾杯の準備をした。

「ねぇ恋ちゃん、俺と結婚してみませんか？」

「えっ？」

想定外の言葉に思わず智章さんの顔をジッと見る。

何回目のプロポーズだろう…。でも何度聞かれても私の答えは同じだ。

「はい。」

私は笑顔で返事をして、持ち上げていた自分のカクテルを智章さんのグラスに当て音を重ねた。
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