想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
その後の記憶は、ぼんやりしている。

運ばれてきた料理はひどく味が濃くて、化学調味料の刺激で舌がぴりぴりした。

烏龍茶をちびちび飲んで、料理を申し訳ていどにつまんで、木田さんの話にあいづちを打って、時間は過ぎた。

9時を回ったあたりで、不意に会社用のスマホを、デスクで充電したまま忘れてきてしまったことに気がついた。
それが潮時だった。

「すみません、会社用のスマホを充電したまま忘れてきちゃったので、取りに戻ってもいいですか?」

話も盛り上がっていなかったし、あっさりとお開きになった。
中華料理店を出たところで、木田さんと別れた。
わたしは会社へ、木田さんは駅の方向へそれぞれ歩き出す。
< 5 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop