切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「そんな目で、朝から俺を誘惑しないように。ベッドから出られなくなるよ」
「誘惑なんてしません!」
むきになって否定するも、また敬語を使ってしまいハッと息を呑む。
「そんなに俺のキス好き?」
私の左手を取り、手首に長く口づける彼。
チクッと小さな痛みがしたかと思ったら、彼は私の手を離した。
手首には赤紫のキスマーク。
「あ~、昨日もつけました……じゃなかった。つけたよね?指導員の先輩が気づいて凄く恥ずかしかったんです……じゃない。恥ずかしかったの!」
相手を責めようにも、キスのペナルティーを考えると上手く言えない。
そんな私を見て彼は楽しそうに目を光らせる。
「恋人がいるって言わなくてもわかるだろ?シャワー浴びておいで。俺は朝食準備しておく」
ポンと私の頭を叩くと、彼は寝室を出ていく。
ちらりと時計を確認すれば、午前七時半を回っていた。
「わー、本当に遅刻だあ!」
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