彼女になれない彼女
ママが平良の定食を運ぶタイミングを図っていることに気づく。

「・・・あ、平良、ご飯。」

私の声に、平良もハッとする。

「あ、ああ、すみません。」
「あら、なんだかお取り込み中ごめんなさいねえ。ねえ。」

ママが私の方も見ながら、定食をテーブルにそっと置く。

「じゃあ、ごゆっくり。」

そそくさと戻っていく。

「フッ・・・」

平良が噴き出した。

「おばさんに聞かれてしまったぁー。」
「だね。」

私も苦笑いして合わせる。

ああ、別れ話の途中だった。

「平良ー」

頑張って声を絞り出す。
声が震えているのが分かる。

「私は、まだ別れたくない。」

少しかすれた声になってしまった。

平良はキョトンとしている。

「・・・あ、そう。」

間抜けな声がした。

「うん。」
「そうなんだ。分かった。」

平良は呆然としたまま、ご飯を食べ始める。
これは、どうなったんだろう。

沈黙が続く。

平良は黙々と食べ続ける。
ママが厨房から気にかけてるのが分かる。

突然、平良の手が止まる。
グッと顔を上げて私の目を見つめてきた。

「沙和さー」

な、なに?

「もしかして俺のこと、好きじゃね?」

!!!!

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