期間限定『ウソ恋ごっこ』
決して広いとは言えない空間に男の子とふたりだけってのは、普通に緊張しちゃう。


でも先輩はこの状況をべつに気にしている様子もなく、淡々とした表情で真っ直ぐ扉の方を向いていた。


なんだかあたしだけ自意識過剰みたいで余計に気恥ずかしい。


あたしは、さりげなく一歩下がって先輩と距離を取り、なんとなく落ち着かない気分で立っていた。


うー、気まずい。早く扉開かないかな……。


「おい」


いきなり声を掛けられて、ビックリしたあたしは勢いよく先輩の方を向いた。


「悪かった」


そう言って先輩は、チラリとこっちに視線を投げる。


なんのことかわからなくて、とまどうあたしの表情を見た先輩は、また短い言葉を発した。


「さっきの。中庭で」


……あぁ。あのことを謝っているんだ。


ってすぐに理解して、先輩の目を見つめ返しながら反応に困った。
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