高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
「俺になりたいと言ってくれるのは、嬉しいです。

でも、花沢さんは俺にはなれません。

俺は俺で、花沢さんは花沢さんだと思っています。

でも…」

西口くんは私の顔を見つめると、
「花沢さんはできると思います。

俺になるのは無理ですけど、花沢さんは花沢さんのやり方でできると思いますから」
と、言った。

「――私の、やり方…?」

そう聞き返した私に、
「俺で練習してください。

コミュニケーションを取ることができないその性格を直すためにも、俺を相手に練習してください」

西口くんは言った。

あの時に返すことができなかった答えは、私の中でもう見つかった。

私は西口くんをじっと見つめると、
「はい、よろしくお願いします」
と、返事をした。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

西口くんが手を差し出してきたので、私はその手を握った。
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