高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
「蜜実さんから、先に…」

そう言った西口くんに、
「えっと、輝明さんの方が早かったよね…?

輝明さんから先に…」

私は言い返した。

「俺の話は後でいいので、先に蜜実さんから…」

西口くんはそう返事をすると、目を伏せた。

これは、私から話をした方がいいかも知れない。

そう判断した私は深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。

西口くんの顔を見つめると、
「――輝明さん」
と、彼の名前を呼んだ。

「――私…」

ちゃんと言うんだ…。

ちゃんと伝えるんだ…。

心臓がドキドキと早鐘を打っている。

その音に飲み込まれないように気をつけながら、私は続きを言うために唇を開いた。

「――私、輝明さんが好きです…」
< 99 / 103 >

この作品をシェア

pagetop