あなどれないね、世唯くん。
きっと、キミじゃなきゃ。



***


静かな空間に、扉がバタンッと閉められた音。

同時に後ろから世唯くんの温もりに包まれた。


加奈ちゃんの家を出てから、世唯くんに家に来て欲しいと言われ断ることなくそのまま家へ。


加奈ちゃんはあのあとわたしに謝ってくれた。


『すごく怖い思いさせてごめんね。それに、前カフェで会った時もすごく嫌味に聞こえるような言い方ばかりしちゃって。

でも最後まで聞いて欲しかったなぁ。あのとき、千景くんが今想ってる相手はわたしじゃないって言おうとしたのに。糸羽ちゃん我慢できずに去っちゃったから』


さらに。


『こんな手荒な真似はしたくなかったんだけど、こうでもしないと千景くんの本心がはっきり見えないかと思って。

今までイジワルなことばっかりして本当にごめんね。過去にわたしたちがすごい深い仲みたいに匂わせて気分悪くさせちゃって。

ただ2人に素直になって、想いをきちんと伝えてほしいから』


と、言ってくれた。

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