魔法に囚われて〜誘拐されて溺愛されてます〜
王宮の外の景色を、ジュエルはこの目で初めて見た。地面に立って見る時とは違う華やかさがそこにある。

街の明かりが煌き、ジュエルはその美しさに言葉を失う。

「ママ、綺麗だね〜!」

笑顔で振り向き言うレンの言葉に、ただジュエルは頷くことしかできなかった。

家々が立ち並ぶ上をほうきは飛び、月が映し出された鏡のような湖や、不思議な形をした岩のある場所など、ジュエルとレンが訪れたことのない場所にユーゴは案内する。

そして、月明かりが照らすチューリップ畑にほうきはやって来た。三人はチューリップ畑に腰を下ろし、赤やピンクなどに美しく咲く花を見つめる。

「ふわぁ〜……」

レンが大きなあくびをし、横になった。すぐにジュエルの隣から寝息が聞こえてくる。

「疲れていたのね」

「あれだけ泣いたからね」

ジュエルとユーゴは微笑む。ユーゴがふわりと魔法で毛布を出し、レンの体にそっとかけた。

「綺麗でしょ?ここ、僕が一番好きな場所なんだ。ジュエルと来ることができて、本当に嬉しいよ」
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