見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
……うん、私もそう信じている。単純だけど、悩みが吹っ切れたら、この先運命がどう転んでもうまくやれそうな気がしてきた。

周さんに会ったら、プロポーズをすぐに受け入れられなかったことを謝って、改めてふたりで家族を作りたいという思いを伝えよう。

もう迷わないから、これからも私と一緒に生きてほしい──。


ふと気がついたときにはすでに、乗り換えを行う品川駅のひとつ手前の駅に差しかかっていた。いつの間にか眠っていたらしい。

それなのにまだ眠くて、身体も怠い。おかしいな、実家で元気を充電したはずなのに。ここ数日の疲れがどっと出たのだろうか。

首や肩を回しながら、なにげなくスマホを見てドキリとする。寝ている間に周さんからの着信があったのだ。

時間は今からニ十分ほど前だ。帰ってくるのは夜のはずだけど、なにかあったのかな。

新幹線の中なので、【電話、気づかなくてごめんなさい。実家に帰っていて、もうすぐ品川駅に着くところです】と、ひとまずメッセージを送っておいた。

そうして目的地に着き、新幹線を降りたのだが、階段を上るだけで息切れがする。どうもおかしいと思い、自由通路にある石のベンチにとりあえず腰を下ろした。
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